太陽光発電と蓄電池を新築住宅にセット導入するべき理由とは?メリット・デメリットも紹介

アイ・ランドの「A-Smart2030」では、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた新しい技術を採用しています。

この仕組みを住宅に導入することで、より効率的に電気を活用して電気料金を節約できるだけではなく、1年を通じて快適な生活を送れるようになります。

今回はその仕組みを詳しく紹介します。

太陽光発電と蓄電池を組み合わせるべき理由

まずは、太陽光発電と蓄電池を組み合わせて使うことをおすすめする理由について説明します。再生可能エネルギーに対する施策を行うことで、よりお得に電気を活用できる秘密があるのです。

電気料金はこれからも高騰を続ける

2011年に発生した東日本大震災以降、被害を受けた地域に設置されていた原子力発電所は、ほぼその機能を停止し、それ以降電気料金は高騰する一方です。

その理由には、以下のようなものがあります。

電源は火力発電に依存している

日本の電源構成比の推移

上記画像は日本の電源構成比の推移を示したものです。2011年3月の東日本大震災以降、原子力発電がほぼ使用できなくなったことで、日本国内のベース電源の多くは火力発電に移行しました。火力発電に使用する燃料は、石炭・重油・天然ガスです。

しかし、これらの資源は日本で生産することができず、すべて輸入に依存しています。そして、資源輸出国での資源価格の高騰が、電気料金の値上がりに影響するのです。

原発を廃炉にする経費も電気料金に上乗せされる

震災の影響によって損壊した原子力発電所は、廃炉としなければなりません。その経費を捻出するのは、他でもない私たちです。私たちが支払う電気料金をさらに値上げすることで、原子力発電所の廃炉負担金を賄うという考え方です。

原子力発電所の廃炉にかかる経費は、1基あたり1兆円がかかるとの試算があります。さらには、電力会社の再生エネルギー買取にかかる再エネ賦課金や、高騰する輸入燃料の調整費までも、電気料金に影響を与えています。

経済産業省は2021年分の再エネ賦課金単価を1kWh当たり3.36円と決定しました(2021年3月24日発表)。2014年度分が0.75円/kWhだったことを考えると、この8年間で約4.5倍に上昇しています。

再エネ利用の流れは今後も加速していきますし、将来の電気代はますます高騰することが簡単に予想できます。

参考:FIT制度における2021年度の買取価格・賦課金単価等を決定しました|経済産業省

電気を買わない、自給自足できる暮らしが可能に

これからの電力事情を考慮すると、「電気を買わない」という考え方が重要になります。太陽光発電システムで発電した電気は、電力会社に売電することができます。

しかし、売電価格は年々下落しており、発電した電気を売電する一方で価格が高騰する電気を購入していると、損をしてしまうのです。売電による収入は、購入する電気料金を超えることはほぼありません。

そして、この金額の差は電気料金の高騰と共にどんどん広がっていき、家計を圧迫するでしょう。太陽光発電と蓄電池を備えた「電気を買わない住まい」を建てることで、エネルギー事情・社会情勢に左右されることなく、光熱費を低く抑えることができるのです。

FIT期間終了後の太陽光発電の自家消費にも

「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT)の適用期間は、2021年現在ではすでに終了しているケースが増えています(卒FIT)。

太陽光発電と蓄電池の組み合わせは卒FIT後の電気の自家消費・また電気を高く売ることにも役立ちます。

卒FIT後は自家消費の方がお得

FITは、太陽光パネルの容量10kWh未満の設備について、余剰電力を10年間固定価格で電力会社が買い取る制度です。この制度が適用されなくなると、売電収入が従来の5分の1程度激減します。

FITは、その前身である余剰買取制度として2009年にスタートし、2012年に改正されました。FIT適用期間は10年間であるため、たとえば2009年にFIT認定を受けた太陽光発電システムは、2019年にFIT適用期間が終了したことになります。

FITで設定された固定価格が適用されなくなると、電力会社へ売電しても有益な収入が得られません。そのため、電気を売電するよりも自家消費した方が、光熱費をより効率的に節約できるわけです。

EV車と蓄電池の組み合わせが電気の自家消費と売電に役立つ

電気を動力とするEV車は、太陽光発電で得た電気の有効活用に役立ちます。近年、エコの観点からEV車の普及が進み、国は2030年にガソリン車を廃止する方針です。

EV車の活用技術として、V2Hと呼ばれるシステムが注目を集めています。これは、EV車に蓄えた電気を家庭で利用できるシステムです。

このシステムを使い、自家発電した電気を蓄電池・EV車に蓄え、家に必要な電気を双方の蓄電から賄うという形にすれば、生活に必要なすべての電気を太陽光発電で賄うことも可能になります。

また、蓄電池とEV車は災害時の備えとしても優秀ですし、蓄えておける電気量も多いため、売電価格が高いときを狙って利益を得るという利用方法も可能です。

2050年のカーボンニュートラル達成には必須

カーボンニュートラルは国としての課題となりますので、参考としてご覧ください。

2020年10月の臨時国会において、2050年までにカーボンニュートラルを実現する旨の宣言が行われました。

これは、太陽光発電等の再生可能エネルギー活用と深い関係があります。そもそも、カーボンニュートラルとは、以下のような炭素(カーボン)化合物=温室効果ガスの排出量と除去量をプラスマイナスゼロとする案です。

※「温室効果ガス」に含まれるカーボン
・二酸化炭素
・メタン
・一酸化二窒素
・各種フロンガス

このカーボンニュートラルについて、2021年2月24日に、国土交通省・経済産業省の要人に加え、河野行政改革担当大臣により会議が開催されました。

特に、河野大臣が提唱したのは「省エネ基準適合住宅」についてです。カーボンニュートラルの達成には、これからの住環境において省エネや再生可能エネルギーの利用を徹底しなければならないとの意見が提示されました。

住宅における再生可能エネルギー活用=太陽光発電等の導入が、2050年のカーボンニュートラル達成に深く関与するのです。

太陽光発電と蓄電池を組み合わせるメリット

こちらでは、太陽光発電と蓄電池システムの導入メリットについて、アイ・ランドで提供しているA-Smart2030を例に説明します。これからの快適な住まいを目指すために、A-Smart2030は画期的なシステムです。

1日中電気を買わない生活が送れる

太陽光発電が1日に発電できる電力の内訳の図

A-Smart2030が目指すのは、電気を買わずにすべて自家発電で賄う状態です。A-Smart2030では、太陽光発電によって得た電力を振り分け、電気をすべて活用することを想定しています。

太陽光発電システムが1日に発電できる電気を44kWhとすると、これを利用する内訳は以下のように想定できます。

・1日の自家消費電力平均5kWhは太陽光発電からまかなう
・電気給湯システム「エコキュート」への電気消費に1日3kWhを充てる
・EV車に1日あたり4kWhを充電する
・蓄電池に1日あたり5kWhを充電する
・残った27kWhは売電する

また、通常エコキュートでは、電気料金が安い深夜にお湯を沸かしますが、A-Smart2030は、太陽光で発電できる昼間にお湯を沸かすことで、余剰電力の活用が可能です。

20年間で約1,200万円の経済効果を達成できる

太陽光発電と蓄電池の導入で得られる経済効果のグラフ

A-Smart2030で太陽光発電と蓄電池をセット導入したとき、20年間の経済効果はおよそ1,200万円にのぼると試算されます。

この数値は、電力会社から購入するはずの電気量を太陽光発電で賄うことで浮いた金額に、売電収入を合わせたものです。(電気料金は再エネ賦課金・深夜料金値上げにより10年目までに25,000円/月、11年目以降は30,000円/月に上昇と仮定し、売電価格は「日本卸電力取引所」の最低電力卸価格による)

ちなみに、文部科学省の調査では、子ども1人が公立学校で4年制大学を卒業するまでにかかる教育費について、およそ785万円としています。つまり、A-Smart2030を導入することで、お子様1人のの教育費を上回る経済効果を得ることができるのです。

また、浮かせた電気料金分を貯蓄していれば、20年間で住宅ローンの繰り上げ返済もできます。

EV車との相性が抜群

A-Smart2030は、EV車との相性が抜群です。エコであると同時に高い経済効果も見込めます。通常のガソリン車で、1リットルあたり140円・1リットルで10km走行の燃費と仮定すると、1,000km走ったときのコストは14,000円です。

一方、1kWhあたり21円・1kWhで6km走行できるEV車の場合、1,000kmあたりのコストはたった3,500円との計算になります。両者の差は10,500円と、かなりのコストダウンが叶います。そして、EV車の電力を太陽光発電で賄うことができれば、かかるコストは0円です。

停電時や災害時に非常用電源として利用できる

太陽光発電と蓄電池システムの併用は、夜間や災害時の停電が起こった際の非常用電源になります。

停電は、落雷や台風等の天候や地震、さらに発電所の事故など、さまざまな理由で起こりえます。

2018年の北海道胆振東部地震では、日本初であるブラックアウトが発生しました。ブラックアウトとは、電力会社からの電力供給が需要に追い付かず、電気の周波数が乱れてすべての電気供給が止まる状態です。このような現象は、日本全国どこで起こってもおかしくありません。

太陽光発電と蓄電池システムによって、電力会社への依存を避けられるため、非常事態でも安定した電気を確保できます。

日中の停電の場合

a-smart2030の日中の停電時の太陽光発電の使用イメージ

日中に停電した場合、太陽光発電さえできれば大丈夫そうに感じてしてしまいますが、実はそれだけでは不十分です。

太陽光発電で5kWhの直流電力を得ても、停電時はパワーコンディショナーが停止してしまうため満足な電力供給ができなくなります。

パワーコンディショナーの自立運転モードでは、わずか1.5kWh程度しか供給できないのです。これはだいたいドライヤー1台の消費電力であり、他の電化製品を使うことはできなくなります。

A-Smart2030では、太陽光発電で発電した電気を、蓄電池とパワーコンディショナーから8.8kWhの大容量で住宅内に供給できます。これにより、主要な電化製品はおおむね問題なく使えるようになり、停電の際にもとても役立つのです。

夜の停電の場合

a-smart2030の夜間停電時の蓄電池の使用イメージ

太陽光発電は、日照がない夜間に発電することはできないため、夜に停電すると電気が消えてしまいます。

A-Smart2030の蓄電池(容量9.8kWh)を導入すれば、一般的な住宅で夜間に使用する電力約5kWhを賄うことができるため、夜間に停電しても問題なく生活できます。

通常の蓄電池では100V機器しか使えませんが、A-Smart2030の蓄電池は200V機器も使用できるので、エコキュートや200Vの冷蔵庫・調理器具なども使用できます。A-Smart2030の蓄電池を設置しておけば、夜間の停電でも安心です。

太陽光発電・蓄電池システムのデメリット

太陽光発電・蓄電池システムには多くのメリットがありますが、デメリットも少なからず存在しているため、その点も十分考慮して導入を検討する必要があります。

主なデメリットは、初期費用・寿命・設置スペースに関してです。詳しく見ていきましょう。

太陽光発電・蓄電池の初期費用がかかる

太陽光発電と蓄電池システムの導入には、太陽光発電で150~200万円、蓄電池で100~150万円程度の費用がかかります。

これに加え、配線工事費等の経費がかかるため、トータルでの設置費は450万円程度を見積もっておくことが無難です。

ただし、メーカーや設置業者によっても異なるため、細かな金額は確認するのがよいでしょう。

蓄電池の寿命が10~15年なので買い換える必要もある

蓄電池は、使用状況や環境にもよりますが、一般的には10~15年で寿命を迎えます。蓄電池を繰り返し使用することで消耗していくため、充電から放電までのサイクルで耐用年数が設定されているのです。

たとえば、「充電・放電のサイクルを4,000回繰り返すと寿命」のように、メーカーごとに設定があります。そのサイクルを年数にすると、上記の期間にだいたい該当するのです。メーカーの保証期間もおおむねこの年数に定められています。

設置スペースを広く使う

蓄電池の設置イメージ
太陽光発電システムだけでも、パネルやパワーコンディショナーのような各部材を設置しなければなりませんが、加えて蓄電池もある程度の設置スペースが求められます。

そのため、屋外もしくは屋内に設置スペースを確保できなければ導入が難しいです。さらに、蓄電池はデリケートな機器であり、日陰で湿度が低い設置場所を選ぶ必要もあります。

太陽光発電と蓄電池の組み合わせで補助金が出る地域も

国や自治体では、再生可能エネルギーの利用によるエコロジーの観点から、太陽光発電と蓄電地システムの導入に補助金制度を用意しています。補助金のタイプは、主に下記の2種類です。

環境共創イニシアチブ(SII)が交付するもの

国から環境事業の委託を受けている環境競争イニシアチブ(SII)が、2020年に「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」制度を設けており、この補助金の交付を受けるには、以下のようなルールがありました。

・太陽光発電の容量10kW未満である
・蓄電池は災害対応型、ネットワーク型、周波数制御型のいずれかで導入費・工事費の補助金が異なる
・災害対応型の蓄電池では、初期実効容量に2万円を掛けた金額が補助金となる
・VPPに参加するHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)等を用いたネットワーク型には、初期実効容量に3万円を掛けた金額が補助金となる
・初期費用には保証期間ごとの上限がある
・補助金の上限額は60万円
・公募期間が限定されている

地方自治体が交付するもの

各地方自治体でも、太陽光発電と蓄電池システムの導入に補助金を交付しているところがあります。ただし、交付を実施していない自治体も存在しているため、注意が必要です。

交付金額や条件、公募期間についても、自治体ごとにかなりばらつきがあるため、自治体に問い合わせることをおすすめします。

アイ・ランドがある静岡県焼津市では「令和3年度住宅用太陽光発電システム等設置事業補助金交付制度」で、住宅用太陽光発電システム設置につき5万円、住宅用リチウムイオン蓄電池システム設置で4万円の補助金交付があります。

アイ・ランドがおすすめする家庭用蓄電池

アイ・ランドでは、太陽光発電と併用して使用する蓄電池をいくつか取り扱っており、ライフスタイルや経済状況等によって選び分けることができます。こちらでは、アイ・ランドがおすすめする蓄電池について紹介します。

これから太陽光発電と蓄電池を一緒に導入する人や、蓄電池の後付けを検討している人は、参考にしてください。

容量9.8kWh以上の蓄電池

A-smart2030で使用している蓄電池は、9.8kWhの大容量です。

つまり、一般家庭の夜間の自家消費電力である約5kWhを賄って余りある容量であり、夜間のエコキュートの湯沸かし等にも十分対応しています。

湯沸かしを昼間に対応可能なエコキュートを採用すると、太陽光発電の電気で湯沸かしが可能なため、蓄電池に発電した電気を別に使うことができ効率的です。

AI搭載蓄電池

蓄電池にAIを搭載したタイプは、天候と家族の動向等に合わせて、蓄電量を調整することが可能です。

たとえば、十分な日照があり家族が出かけているときは、発電量に対して自家消費量が少なくて済むため、ご家庭の夜間消費電力量を考慮して蓄電量を抑えます。

一方、雨の日で家族が家にいる状況では、おのずと自家消費量も増えることを予測し、日中の発電量をフル充電する等の調整を行います。

全負荷型タイプの蓄電池

大容量である全負荷型の蓄電池は、停電時に住宅全体の電気をフォローすることが可能です。

停電したとき、全負荷型蓄電池では自動的に放電モードに切り替わり、使用する電化製品の制限を受けることなく何でも使うことができます。そのため、調理器具・空調・照明などをそのまま使用できます。

日中の停電時でも太陽光発電が使える

日中に停電してパワーコンディショナーが作動しなくなった場合に、通常通り太陽光発電が使えることは重要な条件です。A-Smart2030では、停電時も太陽光発電で発電した電力を蓄電池を通じて5.5kWまで出力ができるので、ほとんどの電化製品を使用できます。

実は、一般的な太陽光発電システムは、停電時にパワーコンディショナーがストップするため、十分な電力が供給できなくなります。そのため使用できる電化製品もかなり制限されるのです。

停電時にも安定した電気供給が可能で、普段通りの生活ができるような蓄電池が望ましいでしょう。

太陽光発電と蓄電池を組み合わせて賢く節約しましょう

太陽光発電と蓄電池システムを組み合わせることで、電気を購入しない生活が可能になります。自家発電分のみで不自由なく生活できるでしょう。加えて、余剰電力を売電すればさらに家計も潤います。

今回紹介した点を踏まえて、賢く電気代を節約できると嬉しいですね。

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